現在のお笑い芸人の質は決して低くない

現在のテレビ業界においては、制作コストを小さくすることが大きな関心事となっているようで、ドラマに代表される製作費がかさみがちな番組は、昔と比べて減ってきています。そういった流れの中で、比較的低コストで制作することができるバラエティー番組や情報番組、クイズ番組などは、どのチャンネルでも1日に何本も放送されているほど、数多く制作されるようになっています。
そういった番組で司会者を務めたり、ひな壇で現場を盛り上げる役割を果たしたり、またパネラーや回答者としてまじめな受け子知恵をしたりして、主に活躍しているのはお笑い芸人です。彼らの本業と言えるのは、漫才やコントのような、いわゆる芸と呼べるものを披露することで、テレビ番組での姿は彼らの仕事の一部に過ぎないのではありますが、現在ではテレビで漫才やコントなどを披露する機会は激減しており、彼らのそういった姿を見ることはほとんどなくなっています。
そのような点から、最近の芸人は昔と比べて質が落ちているという人がいるようですが、決してそんなことはないはずです。その理由として挙げられるのは、彼らの多くはテレビに出るようになる前に、しっかりと舞台を踏んでいる場合が多く、また売れてからも定期的に舞台に立っている人たちが少なくないという点です。その実力の片鱗は時折ですが、お笑い特番などで見ることができます。
また最近のお笑い番組はなれ合い的な展開が多く、かつて芸人同士がしのぎ削っていた時のような、ギラギラした若手が少ないという声もあります。その点に関しては、どういったことがウケるかといった時代の流れや、世代による特徴の違いが関係しており、一概に昔と今とどちらが優れているかは判断しにくいものだと言えます。ただかつてのギラギラした時代を生きた大御所からの、今の若手芸人には昔よりも優秀な人が多いという評価があることからも、決して現在の芸人の質が落ちているわけではないことが分かるのではないでしょうか。