優しいお笑いを提供する芸人もいる

昔からテレビのお笑い番組は、子供に見せたくないもののような言われ方をすることがありました。その理由としてしばしば挙げられるのは、突っ込みの際に相手の頭を叩いたり、きつい言葉で相手を悪く言うような芸人が良くいるという点です。もちろん彼らも仕事でそういう役回りをしているわけですし、逆にされる方もそういった扱いを受けることで、笑いが起こることを望んでいるものです。つまりお約束が成り立つ信頼関係がある中でのことではあるのですが、そういったお約束を理解することが難しい子どもに、お笑い番組を見せたくない理由となってしまうのです。
しかしそういった芸人たちばかりではなく、優しいお笑いを提供する芸人も少なくないということは、頭ごなしに批判する人たちに知ってもらいたいことです。そういう人たちの存在は、お笑い番組が決して悪いものではないという、わかりやすい例になるからです。
そのような芸人の代表的な存在と言えるのが、自分が体を張って馬鹿なことをしたり、笑われるような頓珍漢な発言をあえてすることにより、場を和ますことを得意とする人たちです。そういった人たちは、場合によっては笑わせるのではなく笑われているだけで、芸らしい芸があるとは言えないという批評を受けることがあるのですが、それは的外れな考えだと言えるでしょう。彼らは他人を傷つけることなく、自分をあえて貶めるようにすることで笑われているように見せるという、ある意味で高度な芸を披露しているからです。
優しいお笑いのその他の例としては、ふんわりとした空気感の芸を披露する人たちを挙げることができます。彼らは速いテンポが求められるトーク番組においては、自分が率先して前に出ることが得意ではないため、時には陰に隠れてしまう場合もあるのですが、いざ自分にスポットライトが当たった場合には、その独特の世界観に周囲を引き込む力を発揮することが少なくありません。また子供でも理解しやすいような、わかりやすくて可愛らしい芸を見せる人たちも、そのようなタイプに分類されるでしょう。